*-----------------------------------------------------------------* Hyorai_02 *-----------------------------------------------------------------* 今回から視点を変えてみた なんか駄作の予感がプンプンだZE! というか俺会話書くの下手だなぁ・・・orz 一応Hyoraiシリーズということで繋がっています *-----------------------------------------------------------------* ///No.02 お見舞い/// 『人生は交差する流れ星の如く』 『人生は果てなく広い大海原の如く』 それは不思議な世界 この世のどこかにあるかもしれないけどないかもしれない そんな世界のオハナシ そんな世界の中で俺は飛んでいる。 世界は暗闇、要は夜中。 飛んでいるのは紅の竜だった 夜の闇を心地よさそうに切り裂いていく 彼、そう飛んでいる彼の名前は氷雷と言った なぜ氷雷なのか、この世界では誰もが自分で名前を決めるものだからである そう、そして彼は氷雷を選んだ 俺は非常に気分が良い。 それはもう、夜の闇を切裂くのも心地よいわけだが、 俺の行く先には藍夏がいる。それが何よりの理由だと自分で思う。 藍夏は知り合ったばかりだが親友だ。 だが藍夏は紅の竜ではなくあまり関係のよろしくない種である蒼い竜だった。 それに関していろいろと言ってきた元友達を思い出せば腹が立つ。 別に種族なんか仲がいいんだったら良いだろ! 藍夏は滅多にいない俺との会話に付き合ってくれる竜だった。 俺は飛ぶ。 俺の親友の藍夏に会う為に。 ───心地よい空だ 世界の季節は夏 緑が生い茂り動物も活気に溢れる だが竜は例外であった 猛烈な暑さを嫌いこの季節はほとんどの竜が夜型となる 夜にもまだ相当に暑いのではあるが 昼間の熱ほどではないのである 眼下になだらかな草原が広がる。 流石に夜なので動くものは少ない。 この草原の先にある小さな林、そこが目的地。 そして俺は唸る。 ───本日は風邪の為来客お断り─── 札が木の根元に置いてある。 風邪と書いてあるのは見間違いではない気がする。 こういうのはお見舞いをするものなのだろうか? だが余計なお世話を焼いてしまえば藍夏のこと、きっと怒る。絶対怒る。 彼女に怒られるのは真っ平ごめんだ。 では今日は会えないとして俺はどうしようか。 ここのところ毎日が藍夏と出かけたりして遊んでいたためかすぐに答えが出せない。 ・・・そういえばあれはデートだったのだろうか。 思考がずれる。 ・・・そういえば前に一緒に飛んだときの俺は心が跳ねていたような。 ───やめよう、俺のために とりあえずそこで俺は結論を出した。 じゃあ前のように話せるミジンコでも探すか! そして私は唸った。 なぜ私は風邪など引いてしまったのか。 動けないというのはつまらない・・・。 ねぐらの前にかつてヒトが作ったという札をおいて私は奥へもどる。 ・・・ああつまらない。 ここのところは毎日氷雷と遊んでいた。 氷雷は珍しく私と同じ会話が好きな竜だった。 ───友達と会えないというのは寂しいな 藍夏にも友達はいる。 だか彼女らは基本的に藍夏との会話はそこまで好きではなかった。 むしろ藍夏が特殊だったと言えばそれまでなのだが。 だから氷雷と他の友達とは違う意味の友達になっている。 ・・・親友と呼んだほうが正しいのだろうか? さっき誰かが来たようだ。 氷雷だろうか、しかし入り口の脇に置いた札を見て帰ったようだ。 板なんか置かなかったほうが良かったかな・・・? ・・・ああつまらない。 少々元気のない俺が夜空を飛ぶ。 風は良好。湿度はなくからっとしている。 下に火を発見。話せる奴だといいな。 俺は高度を下げる。 この瞬間がまたたまらないと仲間のルシくんが前に言っていた。 全く持って同感だな! 更に高度を下げる。 ミジンコだ。テントが見える。 藍夏にはこの間ヒトをミジンコと言うのはやめろと言われたがやはりそうは変わらないものだ。 そして地面に降り立つ。 我ながら見事な着地。 点数にして98点。 テントからさして慌てるでもなくヒトが出てくる。 そのヒトは男であり狩り装束を着ていた。 明らかに自然の中のハンターのよう。 そして氷雷は思う。 この風景は何処かで見たような気がする。 そう──彼は・・・ 「やあいつかのお喋りな氷雷さん!ご機嫌はいかがかな?」 「やあいつかの変態紳士さん!」 そう、彼は摂氏とかいういつか会ったことのあるミジンコ。 相変わらずの意味不明さに俺もついていってしまうのはどうかと思う。 そしてその変態紳士の返す言葉に始まる会話は、 「失礼な!我が名はトム=セルシウス、通称摂氏。変態紳士はただの通称ですよ。」 「まぁ変態紳士であることに変わりはないわけか。」 「いえいえ、あくまで通称ですよ、できれば摂氏と呼んでいただきたいものです。」 「・・・俺にはどっちでもよく感じるのだがな、まぁ分かったよ摂氏さんやら。」 こうして速く流れ始め、 「まぁ氷雷さん、今日もまたなんで私のところに。」 「前回と同じだが?」 「とすると暇つぶしでありますか。私の知る限りでは竜は暇はいつも竜同士で闘ってつぶしていた気がするんですがね。」 「全ての竜じゃないだけさ。俺は会話のほうが好きだよ。」 「これはまた珍しい、光栄ですな、こんなミジンコ風情に声をかけて頂けるとは。」 「いまさら改まるな。恥ずかしい。」 会話は止まるところを知らず、 「ではでは、氷雷さんの暇つぶしの相手をして差し上げましょう。」 「それはそれは、まぁ実はいつもは相方がいるんだがな、今日は風邪だそうでな。」 「珍しい竜が二羽もいるのですか・・・で、お見舞いは?」 「立ち入り拒否だよ。彼女は無理に入ると怒るしな。」 「彼女ですか!彼女ならちゃんとお見舞いをするべきですよ!」 「いやそういう意味じゃないんだけど。」 「何を言っていらっしゃいますか!紳士たるもの女性の病気のときは見舞うのが礼儀です!」 ペースはいつのまにやら変態紳士が握り、 「別に紳士じゃあないんだがな・・・」 「とにかくお見舞いなさい、寂しいんですよ風邪とかで独りになると。」 「分かったよ・・・もう。」 「ここで一気に好感度を上げるんですよ!」 「そういうもんかね・・・」 「そういうものです。」 俺はお見舞いに行くことに決まっていた。 まぁ明日治ってなかったら行くことにするか。 「そういえばご存知ですか氷雷さん。」 ミジンコが何かを言い出す。 「何がだ?」 「今のこの地域で流行っている宗教ですよ。」 「全く知らん。ミジンコの宗教までは流石に興味がないからな。」 「まぁ・・・簡単に言うと竜を忌み嫌う宗教ですね、ご注意を。」 「なんだその宗教、ミジンコはまた厄介なものを・・・」 「まぁ注意してくださいまし、どうせすぐに廃れるとは思いますよ。」 「わかったよ、忠告感謝。」 「では明日はちょっと長い距離を行くつもりなのでここらで。」 「分かった、おやすみ。」 「おやすみなさいませ。好感度がしっかり上がることを祈っていますよ。」 「あいよ、ではな。」 俺はミジンコの返事を聞くとほぼ同時に飛び立つ。 ミジンコにも面白い奴はいる、それが俺の発見だった。 下でミジンコが手を振っていた。俺は啼いて答える。 今度は78点だった。 巣穴。そう巣穴。 今日私は一日中ここにいる。 竜は退屈を嫌う。 別に竜でなくても退屈は嫌うが要は退屈が嫌だった。 風邪はもう大分良くなった。自分で思う。 最初は立とうとしてもすぐ目が回ってしまったが今は大分楽だ。 ───明日までに治るだろうか 別に今までだって治せるならばすぐ治したかった。 だが今は特に治したい。 今までいなかった話し相手がいるというのに話せないのは辛い。 一度会ってしまうことによって気づいてしまう。 一人は寂しい。 私は適当に食事をしてまた目を閉じた。 俺はねぐらに降りた。 俺のねぐらは崖の洞窟。 蔦が巻きついていてそれなりにいい感じだと思う。 夜が白んできた。 俺は眠りにつく。昼間は暑くてやってられない。 俺は夜型なんだ・・・。 ───明日には藍夏が治っていると良いな・・・ 竜が眠りにつく。 竜はすぐに夢の世界へ旅立って行った。 夜は明け 日が昇り 摂氏が動き出し 日が傾く 俺は目覚める。 今日も一日楽しくいこう! とりあえず俺は食事を取る。この前適当に盗ってきた羊。 獲物が見つからなかったからミジンコの所へ行った。 一応やってはいけないことだったのだが別にどうでもいい。 そして俺は動き出す。 とりあえずまずは寝ぼけた頭を覚ます為にも空を飛ぶ。 それなりに狭い洞窟を出て翼を広げる。 そして一気に飛び立つ。 世界はまだ夕焼けであるがもうこの頃には大分熱気も収まっている。 今日もまずの目的地は藍夏の住処。 今日は札がかかっていてもとりあえずは見舞おう。 好感度を上げてあんなことやこんなことを願っているわけではないが見舞おう。 しかし俺はお見舞いに何か持っていくべきなのだろうか。 誰しも風邪などで調子を崩しているときは不機嫌になるものだ。 一応お見舞いの品は持っていくことにする。藍夏に愚痴られたら溜まったものではないから。 さて見舞いの品はどうしようか。 また羊でも盗っていくべきか。 結論が出ない。 というより全く向こうの嗜好が読めない。 藍夏が受け取って喜ぶものって何だろうか。 まぁ適当に持っていくしかないかな。無いよりはまし。 流石に羊をしょっちゅう盗るのも何か問題になる気がする。 というわけで適当に目を凝らす。獲物は何処に。 飛び立った穴の上のほう、微妙に山地の始まり。 一匹の崖を移動する山羊がいた。 狙いを定め、一気に距離を縮め、掴む! 俺ってすごいな!一発! 取った山羊をぶら下げて藍夏の住処へ向かう。 今日も札は置いてあった。 とりあえず入り口から呼んでみる。 前に男友達のノリで入ったら火を噴かれたから。熱かった。 「藍夏様ー、いらっしゃいますかー?」 奥から返事が聞こえる。 「私はここにいらっしゃいますよ。あなたが何の用ですか。」 明らかに刺々しい。 落ち着け俺、ここはまだ逃げる所ではない。 「いやお見舞いにとでも。」 「伝染したくないからその札を置いている私の心は無視?良い性格ね。」 猛烈なまでに刺々しい言葉が飛んでくる。ひどい。 なんでお見舞いに来ただけでここまでズタボロに言われなければいけないのだろうか。 とはいえ彼女の本来の性格も分かっているだけにそうそう怒る気も無いが。 「とりあえず入りたいのだけどいいかな?」 「どうぞご自由に。」 そして結局通してもらえた。 とりあえず山羊は足に引っ掛けていく。 ある程度奥まで入ったところで穴が分かれている。 ここは左だ。奥にちょっと広い空間。 そして藍夏がいた。 綺麗な蒼い身体を敷き詰めた藁の上で横たえている。 「えー・・・調子はどうですか?」 こういうときの声の掛け方ほど困るものは無いと思う。 「最悪。気分も最悪。そんな私にお見舞いとは気を利かせてくれたつもり?」 ストレスという圧力がのしかかってくる。 「まぁほらさ、1人だと寂しいかなとか。とりあえずお見舞いに取ってきた山羊。」 「ああそこの穴に入れておいて。お見舞いありがとう。」 とりあえず言われたとおりに山羊を穴に入れる。 そして次の言葉。俺は固まる。 「それに1人だと寂しいというのも間違ってはいないのよ。だからお見舞いに来たからには私が退屈しないようにずっと付き合いなさい。」 「それ本気ですか。」 「本気。まぁ私が寝るまで付き合えばいいのよ。」 どうやら本気らしい。 どっちにしろ食事は済ませてあるしまぁ付き合ってあげるのも悪くない。 そう思う俺。ちょっと藍夏から離れたところに腰を下ろす。 「じゃあ俺はこの辺にいるよ。それで何を話せばいい?」 「私が退屈しないような話。まぁまずは近況でも話してもらえる?」 「じゃあまぁそう面白くは無いだろうけど。」 そして話す。同属の友人。山に新しい泉。巣穴の拡張作業。摂氏に会う。 とりあえず話すのは俺の役目。近況に始まり噂とかを話す。 藍夏はそれを聞いて退屈しないでいてくれればいい。 「まぁそれで結局彼は逃げたって話だよ。」 とりあえず適当に尾ひれがついたであろう噂話。 それでも藍夏はそれなりに嬉しそうに続きを聞いてくる。 やっぱり寂しかったんだな。 「というわけでこの話は終わり。」 「それなりに楽しめた。ありがとう。そろそろ寝るわ。」 「分かった。じゃあ帰るよ。早く治せよ。」 「言われなくとも。」 俺は藍夏に別れを告げて巣穴を出る。 穴というには大きすぎる穴だが穴は穴である。 ───藍夏の気をまぎらすことが出来たようでよかった そんなことを考えつつ風を切る。 夜風が心地よい。 ありがたかった。 私はありがたかった。 やはり氷雷のような友達がいると嬉しい。 私は大分気が楽になった気がする。 そういうところで今更ながらに食事を取る。 そしてそれなりに腹を満たして。 それなりに満ちた気分で。 眠りにつくことにする。 ───明日こそは治れ 敷き詰めた藁が気持ちいい。 そうして私は眠りに落ちた。 次の日、氷雷が起きた音は藍夏が入り口から自分を呼ぶ声だった。 どうやらあっさり治ったらしい。あっさり。 *-----------------------------------------------------------------* 08/12/28 作成 08/12/29 加筆修正&文章補正&設定修正 08/12/31 加筆修正&設定修正 09/01/04 文章補正 09/01/09 加筆修正 *-----------------------------------------------------------------*